
今回は、あらためて**「自然体とは何か?」**について書いてみたいと思います。
ただし、ここでいう「定義」は辞書のように厳密なものではありません。
感覚的に捉えていただければと思います。
天と地の気が循環する状態
僕が考える自然体とは、 「天の気と地の気が、からだという器を循環している状態」 を指します。
天の気は地に向かい、地の気は天に向かう。
からだはその流れを、できる限りロスなく伝える存在です。
たとえば、
• 天の気=重力
重力があるから、僕たちは地に足をつけて立っています。
• 地の気=反力
60kgの物体(=僕たちのからだ)が地面に沈まないのは、地面が同じ力で押し返してくれているから。
つまり、 からだの中を「重力」と「反力」が循環している状態こそが、自然体 ということになります。
この状態では、からだの動きがスムーズになり、無駄な負担がかかりません。
反対に、どこかに滞りがあると、重力と反力のバランスが崩れ、姿勢が不自然になったり、疲れがたまりやすくなったりします。
力を抜くことの難しさ
では、具体的にどんな状態が「自然体」なのか?
それは、必要最小限のからだからの出力で、そこに居ることができる状態です。
• 背筋を張りすぎず、かといってダラダラと脱力しすぎない
• 無駄な力を使わず、必要な力だけを使う
本当の意味での「脱力」とは、 力を0にすることではなく、必要以上に力まないこと。
たとえば、座っているときや立っているとき、どこかに余計な力が入っていないでしょうか?
肩に力が入っていたり、必要以上に膝を伸ばしていたり、無意識のうちにからだを固めていることは多いものです。
力を抜きすぎれば重力に押しつぶされ、力みすぎれば重力と喧嘩して疲れが溜まる。
だからこそ、力を抜くことは、力を入れることよりもずっと難しいのです。
からだを器とするということ
自然体とは、「からだを器とすること」 でもあります。
• 足裏から重力を地に返し
• 地の力を頭の上まで通す
このように、からだの中をエネルギーがスムーズに流れる状態をつくることが大切です。
外から見た「見た目の良い姿勢」ではなく、楽に立ち、楽に動ける状態を目指す。
• 胸を張る必要もない
• 膝をピンと伸ばす必要もない
大事なのは、常に「最小限ギリギリの出力」を探し続けること。
この状態が整えば、呼吸も深くなり、からだの疲れが軽減されていきます。
余裕が生まれると、世界が変わる
この状態を維持できると、余裕が生まれます。
からだに余裕があると、気持ちにも余裕が生まれ、
やがて他者を手助けする余裕へとつながる。
これは、単にリラックスしているということではなく、
本来のエネルギーを無駄なく活かしている状態です。
そんな、本当の意味での「余裕のある自然体の人」が増えたら、
世界はもっと素敵になるんじゃないかな、と思います。